こんにちは、北見尚之です。
子供の英語教育が平成20年から本格化しますね。小学校での正課に取り入れられるという事です。たしかに2か国語以上を話せるバイリンガルは魅力ですが、英語能力って本当はどれくらいのレベルが必要なのでしょうか。
ちなみに、同時通訳の業界では、通訳者が仕事で使える言語をA言語、B言語、C言語と分けているそうです。A言語は母国語、B言語は完全に話せるが、母国語ではない言語、C言語は、聞けば理解できるが、流暢には話せない言語、となっています。
ところが、通訳者の間でもA言語、つまり母国語をふたつ持つバイリンガルというのは、ほとんどいないそうです。A言語と、それ以外のB、C言語の決定的な違いはなにか、というと、その国の文化を体で感じるくらい深く理解しているかどうか、その言葉の背景にどんな深い意味が含まれているかどうか理解しているかどうかだと言われます。
文化はとてつもなく複雑に入り組んだ、膨大な情報系であり、言語はその文化の一部です。過去の天才、賢者と呼ばれた人たちも、その高度な思考は母国語でないとできない、と言い切っています。つまり、A言語となる高度な母国語を修得しないと、単純な思考しかできない人間になってしまう可能性があるということです。
子どもに限らず、二種類の言語を完全に習得しようとするのは、ふたつの文化をまるごと理解しようとすることであり、それがどれほど困難な作業かということを理解していない方は多いのではないでしょうか。私は子どもにとってもっと大切なことは、他にあると思っています。
英語や、他の外国語も同じですが、日本の文化を高度に理解し、日本語を母国語だと言えるレベルまで修得し、高度な思考が可能になったうえで、あくまでツールとして外国語を使う、というのなら良いと思います。ちなみに世界的に活躍されている同時通訳者の方が本格的に外国語を学習したのは高校以降と答えています。
北見尚之