75%の消えた昆虫

こんにちは、北見尚之です。

先日、私的にはかなり衝撃的なニュースを見ました。過去27年間で「羽を持つすべての昆虫類」の生息量の75%以上が減少していたことが判明したというのです。ただ、これはドイツの自然保護区でのことです。

ニュースによれば、2017年10月18日に発表された研究論文にて、すべての羽のある昆虫のバイオマス(ある空間内に存在する生物の量)は、ドイツの自然保護区域において、過去 27年間で 75パーセント以上減少していたことがわかった、とされています。

羽のついた昆虫とされていますが、トンボ、蝶、バッタ、カマキリ、蜂など、すべて羽のついた昆虫であり、一般人の解釈ならすべての昆虫の75%と考えても、違和感がないくらいです。
昆虫は、野生の植物の受粉という重要な役割をはたしています。植物の70%以上が昆虫に受粉を依存していると言われていますから、その昆虫がいなくなったら、植物たちはどうなるのでしょうか。

また食物連鎖の視点からみれば、昆虫は鳥類の約60パーセントの食糧ともなっています。このように昆虫は、自然界の生態系機能に重要な役割を果たしているわけですから、その昆虫が75%も減少したら自然への影響は免れないと思うのです。

この事実について専門家は、広範囲に渡る問題であると警告を鳴らしています。昆虫の大幅減少の原因の一つは農業で肥料として使用されている窒素化合物である可能性がある、とも指摘しています。

事実、大量の蜂が女王蜂などを残したまま突然消えた、または沢山の蜂が死んだと、かつてニュースになったことがありますが、専門家達の研究によって、ネオニコチノイド系農薬が蜜蜂たちを駆除しているという結果となり、その後、その農薬は使用禁止になっています。

この問題はドイツだけに限りません。日本においても昆虫減少は指摘されており、とくに数種類の水生昆虫類の絶滅が危惧されています。

私も実感として身の回りの昆虫が少なくなっているなと感じます。問題解決のためには自然との共生を私たち一人一人が真剣に考えていかなければならないと感じています。

北見尚之

木に学べ 西岡常一著を読んで

こんにちは、北見尚之です。

道具、人、気候風土、それぞれに適材適所また適役それぞれの働きがある、その働きを超えることを間違いと言うのだろうと思います。しかし、現代においてはその間違いに気づかないどころか、間違っている方が正しいという風潮を見受けます。

日本最古の木造建築といえば法隆寺が有名ですが、その法隆寺や薬師寺を棟梁として復元に尽力した西岡常一さんのことが書いてある本です。西岡常一さんが主に寺社の復元から学んできた様々なことについて会話形式で話が進んでいきます。

その中で飛鳥時代の建築家がいかに自然と向き合い、優れた技法を確立していったか、その過程が書かれています。

これを読んでいるとモノづくりの歴史というのが本当に進化しているのかとても疑わしくなってきてしまいますし、むしろ退化しているのではないかとまで思えてきてしまいます。価値観にいいも悪いもないでしょうが、人間が地球に属しているという事実に背かないとするならば、今の価値観はあまりにも自然と人間とを区別しすぎているような気がしてなりません。

便利さの上での変化はもちろん重要ですし、それも革新の一つであることは間違いありませんが、重要なのは「その歴史を知っているか」ということが前提にあるか否かという点だと思います。

いろんな人が法隆寺を見にくるが、世界で一番古い木造建築だからというだけでは意味がないと著者は語ります。
われわれの祖先の飛鳥時代の人たちが建築物にどう取り組んだか、現代人の及ばない知恵と魂と自然を見事に合作させたものだということを知って見に来て欲しい、と。古いから価値があるわけではない、という言葉を何度も言われていました。

法隆寺や薬師寺に使われているヒノキは樹齢1000年を超えるものだそうです。ヒノキもすごいが、ヒノキという木が優れた木であることを知っていた飛鳥の人もすごいと西岡さんは言います。

「それでもなんです。建てるものがなくても、飛鳥の技法みたいなものはなくなりません。今の電子工業のようなむずかしいものと違いますからね。自然というものを理解さえすれば誰でもできますわ。」

本書の中にあったこの言葉が、一番印象に残っています。思考の末、技術革新に過ぎると一番肝心なものが見えなくなってくるのかもしれません。

北見尚之