こんにちは、北見尚之です。
ご存じの方は少ないかもしれませんが、戦後の沖縄において、電力不足を補うために発電船なるものが活躍していたことがあります。発電船とは文字通り発電する船のことで、船の中で火力発電によって電力をつくりだし、陸地に電力を供給する船です。活躍したのは1950年代ですからだいぶ昔の話ですね。
どうしてそんな話をするのかと言いますと、ロシアにおいては原子力発電船の建造が進められているというニュースを聞いて思い出したからです。
これらはロシア連邦原子エネルギー局で建造が進められている自己完結、低容量の浮かぶ原子力発電所なのだそうで、2基の改良型ソビエト海軍核推進動力炉をそなえる施設です。現在数隻の建造が計画されていて、最大70MWの電力または300MW分の熱エネルギーを供給し、これは20万人の人々が住む市への供給分に相当するのだそうです。
完成は遅れているそうですが、いくつかは、ロシアの北極圏で使われる予定で、いくつかは輸出の計画があり、ロシア連邦原子エネルギー局によれば15ヶ国がこの船の購入に興味を示しているそうですが、原子力発電所が海を自由に動き回って大丈夫なのだろうか、というのが率直な感想です。
じつは現在の日本でも洋上発電の研究を続けています。以前から実験されていたのは波の力を利用して発電する「大型浮体式波浪発電装置」ですが、いまはLNG(液化天然ガス)を燃料とする火力発電船が主流となりつつあるということです。実際に三菱重工がLNG運搬船から直接供給を受けて発電する「発電船」の受注生産に乗り出していますね。
発電船のメリットはなんといっても災害派遣、または僻地での活動を支援するための電力供給です。
エコで安全な街づくりを目指す我々としても、発電船は安全に有効に活躍して欲しいと思います。
北見尚之