バイオエタノールとは

こんにちは、北見尚之です。

さて、バイオエタノールとは、でんぷんをアルコール発酵して作られるエタノールのことです。そしてこのエタノールはガソリンと混ぜて自動車の燃料としても使用されています。日本では政府の要請により、この混合燃料(バイオ燃料)の販売が2007年からおこなわれており、2017年には原油換算で50万キロリットルのバイオ燃料を販売するそうです。

ただ、その原料となるトウモロコシの価格は年々右肩上がり。そこで穀物の価格高騰が起きたときに議論されるのが、「食糧対エネルギー」です。トウモロコシから生産されるバイオ燃料が人間の食べる食糧を消費し、食糧不足を招くのでは、という危機論のことです。

例えば、米国では毎年1億2000万トンものトウモロコシがエタノール生産に使われていますが、これは米国のトウモロコシ生産量の30%超にあたります。それでもトウモロコシをエタノール原料にする動きが止まらないのには理由があるのです。じつはバイオ燃料の使用はCO2の排出に当たらないという国際的な取り決めがあるからです。

これは「カーボンニュートラル」と言われるもので、トウモロコシは成長過程でCO2を吸収するので、燃料として使用しても差し引きゼロになる、という考え方です。農家もトウモロコシを食糧よりもエタノールに回した方が利益を高められるという現状もあります。なんの関係もないようで、原油高はエタノールを経由したトウモロコシ価格と連動しているのです。

ただ、一般の認識とは異なり、世界には穀物増産の余地がかなりあります。ちなみにブラジルでは未利用地に灌漑設備を備えることで10億人分以上の食料を生産できるという試算があるくらいです。ですが、食料に影響しないほど増産すれば、逆に穀物価格は暴落、農民は収益ダウンという不思議な結果になってしまうのです。

それに穀物を十分に増産すれば良いのかというと、そうとも言い切れません。バイオ燃料のみのエネルギー供給は不可能でしょうし、また不安です。バイオ燃料はあくまで予備燃料とし、太陽光発電や風力などほかの再生可能エネルギーにも活用する。それが十分に機能したら原発を廃止して再生可能エネルギーを中核にしようというエネルギー論も成り立つのではないでしょうか。

北見尚之

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